いしかわ市民連合主催のミニトーク集会がありました。輪島市の産業廃棄物処理場誘致の問題を通じて能登地域の今後について考えました。
今夜から4日までいしかわ市民連合が主催するミニトーク集会がこくらえみ選挙事務所1階のブースにて始まりました。
第1夜の今夜は、能登半島の輪島市で問題となった産業廃棄物処理場の誘致問題を通じて能登地域の今後を考えるミニトークでした。
この問題で輪島市の検討委員会で委員長を務められ、誘致の反対を答申した金沢大学の碇山洋教授(真ん中の男性)のほか、反対運動を続けてきた「輪島の産廃問題を考える会」の会長さん、副会長さんも駆けつけてくださいました(その右)
この誘致問題は、豊かな自然と動植物が残る(世界的に珍しい鳥類もいるそうです)輪島市旧門前町の大釜地区に産業廃棄物の最終処分場を誘致する計画が持ち上がり、多くの住民が反対する中、市と県が誘致を認めたものです。
「考える会」などの署名運動で住民投票にまでなりましたが、投票率が50%に満たなかったため開票されず(そういう条例がありました)、反対の審判は下りませんでした。一方で、梶文秋輪島市長自らが「選挙に行かないことが誘致賛成の意思になる」と繰り返し発言したり、自民党会派が投票の棄権を市民に呼び掛けたり、首長や議員が住民投票を妨げる行動が全国的に波紋を呼びました。
後のマスコミの独自調査では、誘致反対が圧倒的多数だったことが明らかになっています。
ミニトークでは、碇山さんが誘致問題の経過を報告した後、県政と今回の誘致問題との関連にふれて次のように説明しました。「出された環境評価ではミゾゴイなどの貴重な動物への影響が十分にふれられていなかったり、環境対策に不十分な点が多々あったにもかかわらず、県は独自の調査も検討も不十分なまま、すぐに建設許可を出した。今回の誘致計画だけでなく、志賀原発の問題や他の公共事業でも県独自に検討・調査して県民の生活・安全を守る姿勢が見えないことは大きな問題。そしてその責任者の知事がそれを容認していることもまた大きな問題です」
また碇山さんは、今回輪島市と県が建設許可を出したことで能登の将来に大きな影響を及ぼす可能性も否定できないことも指摘しました。「能登半島全体が世界農業遺産という貴重な資源だという評価を受けた一方で、処分場を受け入れたことで『能登に行けば処分場やらなんやらを簡単に受け入れてもらえる』という印象を対外的に与え、いっそう地域の産業や観光資源を衰退させる恐れがある」
確かに世界農業遺産でありながら、処分場に大量のごみが県内だけでなく近県からも運ばれたり、活断層という危険性や核のゴミを抱える志賀原発があったりと言うのは、観光や地場産業にとって悪い印象を与えるのではないでしょうか(ちなみに今の計画では人気観光スポットの輪島朝市の真横を産廃を積んだトラックが走る計画になっているそうです・・・)
一通り処分場問題について話し合った後は、最近の石川県政と能登地域の関係が話題になり、志賀原発の建設や能登線の廃止など、今の県政の中で能登地域を振興させるビジョンが見えないことが出されました。
今回話題になった処分場問題でもそうですが、谷本知事の政治姿勢として「県独自で県民の安全や安心、生活のために何か政策を打ち出す」というのが弱いようです。
処分場問題で言えば、少なくとも建設許可の申請が出た時点で環境への影響や地域への影響などを県独自で調査し、問題があれば指摘して改善を求めるなどの対応は必要不可欠でしょう。
志賀原発で福島原発事故の対応が必要になった時も「国の動きを見守る」と言いながら国にお任せで、県としてはほとんど何もしていないのは有名な話です。柏崎刈羽原発の再稼働を安全対策の不備などから認めず、国や電力会社の圧力にも屈しない新潟県の米山隆一知事のように、知事が持つ強い権限と責任を生かせば県民のためにいろいろなことができるはずです。
本来、県という自治体は国が間違った政策を実行し、県民の生活や安全に不安を及ぼした場合は盾となって県民を守り、市や町が住民のためにいろいろな政策が実行できるように予算面や制度面で支援するためにあるそうです。だからこそ県には大きな権限と予算があるし、そのトップの県知事には大きな力と責任があるはずです。
「知事が変われば県が変わり、県民の生活は大きく変わる」―。そんなことを感じたミニトークでした。
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